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OASIS ORIGIN 第1章|砂漠で見つけた“オアシス”という概念

アメリカ西部の旅が始まりだった

携帯電話もカーナビもない時代。
東京農業大学で造園を学んでいた田村大は、
「自分はどんな空間をつくりたいのか」
「自然と人の関係をどう捉えるべきか」
その答えを探すように、アメリカ西部へ旅に出た。
頼れるのは分厚いロードアトラスだけ。
ページをめくるたびに、見知らぬ土地の名前が現れ、その地図の白い余白が、まだ見ぬ世界への入口のように思えた。
砂漠のハイウェーは、ただまっすぐに続いていた。
地平線の向こうから吹きつける乾いた風、太陽が照りつける広大な空、そして、どこまでも続く無音の世界。
日が暮れ始めると、心のどこかに不安がよぎる。
「この先に本当に町はあるのだろうか」
「今夜、眠る場所は見つかるだろうか」
そんなとき、地図に小さく記された町の名前が現れ、やがて暗闇の中にぼんやりと浮かぶ“MOTEL”のネオンが見えてくる。
恐る恐るフロントで空室を尋ねると、「空いているよ」と言われた瞬間、身体の力がふっと抜けるような安堵が広がった。
中庭には小さなプールがあり、砂漠の乾いた空気の中で、水遊びを楽しむ人々の笑い声が響いていた。
その光景は、旅の緊張を解きほぐすように、静かに心に沁みていく。
田村はふと想像した。
──かつて馬車で旅していた時代、砂漠を越えた先に現れた湖畔のキャンプ地。
そこに辿り着いた旅人たちが、疲れを癒やし、明日へ向かう力を取り戻したのではないか。
このMOTELは、現代の“オアシス”なのだと。

砂漠の闇に浮かぶ光の街・ラスベガス

旅は続き、グランドキャニオン、フーバーダム、モニュメントバレーなど、アメリカ西部の雄大な自然を巡った。
どの場所も、自然のスケールが日本とはまったく違い、人間の存在がいかに小さく、自然がいかに大きいかを思い知らされる。
そして帰路、ラスベガスへ向かう夜のハイウェーを走っていたときのこと。
周囲は完全な闇に包まれ、ヘッドライトだけが頼りの一本道をひたすら進む。
長い上り坂を登り切ったその瞬間、暗闇の向こうに突然、まばゆい光の街が姿を現した。
砂漠の闇を切り裂くように輝くラスベガス。
その光景は、まるで別世界への入口のようで、田村の心に強烈な印象を残した。

ラスベガスのウェルカムサイン

ラスベガス名物「Welcome to Fabulous Las Vegas」サインと背景の街並み
砂漠の闇を抜けた先に現れる、ラスベガスの象徴的なウェルカムサイン。

その夜は、ルクソールの駐車場で車中泊をした。
カジノの煌びやかな光に誘われ、少しだけ遊んでみた。
間違って5ドルを大型スロットに入れてしまい、返金できずに仕方なく回したら、100ドルになって戻ってきた。
貧乏学生にとって、それはまるで一夜にして億万長者になったような出来事だった。
ラスベガスの光と熱気、そして偶然の幸運。
そのすべてが、旅の記憶をより鮮やかにした。

砂漠の“オアシス”という概念が芽生える

砂漠の夜は、昼間とはまったく違う表情を見せる。
空気は冷たく澄み、星空は圧倒的な広がりを見せる。
火を囲むキャンプの光、砂の匂い、遠くに見える山影。
そのすべてが、田村の中に“オアシス”という概念を深く刻み込んでいった。

砂漠の夜空の下で焚き火に照らされたテントと満天の星空
砂漠の静寂に、焚き火と星空がつくり出す一夜のオアシス。

貧乏学生で田村であったが、鳶の現場で高い日当のアルバイトをし、資金を貯め、円高と格安航空券の存在で翌年もアメリカを訪れることができた。
その旅で、田村の人生を変える一言が生まれる。
空港へ向かうタクシーの運転手が何気なく言った。
「兄ちゃんたち、学生か? 庭師か? この辺の庭師はプールの仕事がメインだよ」
そのときは軽く聞き流した。
“プールだけで食えるのか”と。
しかし、この言葉は後になって大きな意味を持つことになる。

プール文化との出会いが人生を変えた

数年後、造園の仕事に就き、スマートフォンを手にした頃、
ふと、あのタクシードライバーの言葉を思い出した。
「この辺の庭師はプールの仕事がメインだよ」
気になって、ラスベガスの住宅街をGoogleマップで見てみると、驚くべき光景が広がっていた。

ラスベガス郊外の住宅街に並ぶプール付きの家々を上空から撮影した風景
プールが生活に根付くラスベガス郊外の住宅街を上空から捉えた一枚。

家の半数近くにプールがある。(文末にGoogleMapのリンクを貼っているので皆さんにも見て欲しい。)
それは、文化としての“水辺”が生活に根付いている証だった。
日本ではまだ珍しい“プールのある暮らし”が、アメリカでは当たり前の風景として存在していた。

砂漠の夜に灯るキャンプファイヤーと星空の下で輝くテントと水面の反射
砂漠の静寂の中、星空と炎がつくり出す一夜のオアシス。

砂漠のMOTELで見た小さなプールから感じとったオアシス。
夜の闇に浮かぶラスベガスの光。
そして、生活の中に当たり前のように存在するプール文化。
すべてが一本の線でつながり、後のOASIS–OARAIの原点となっていく。

つづきを読む・・・忘れていた“2つのプール記憶”が動き出した日|第2章

▼ラスベガスの住宅街をGoogleMapの航空写真で見る
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